銀行の経営が順調だそうである。一時は青息吐息で、公的資金を投入して貰ってなんとか生き延びた大手銀行の中には、予定より早く公的資金の返済を終えた所もあるそうだ。
そりゃあそうだろう。公定歩合0.1%、定期預金に至っては一年物で0.03%くらいの金利なのだ。事実上ゼロ金利と言われて久しい。
一方、銀行が個人にお金を貸す場合の金利はどうだろう。
住宅ローンや
目的ローンは別として、いわゆる
カードローンのような使途自由貸付の場合は銀行が直接貸付を行ってきたこれまでの形から、子会社にその業務を行わせて安くても15%、一般的には18%くらいの金利を取る形へと変化してきたのだ。
つまり預金者から10万円預かった場合は、一年間で30円しか金利を支払わず、10万円を貸し付けた場合は一年間で1万8千円の金利を取るわけである。
これで儲からない方がどうかしている。クレジット会社のカードローンも同じくらいの金利だし、一言で言ってしまえば
金融機関総サラ金化と言うことになる。
おまけにそうやって暴利をむさぼる銀行ほど
健全な経営をしていることになるのだからこの国は狂っているとしか言いようがない。
まっとうな銀行がサラ金になってしまったのだから、悪質なサラ金はヤミ金に姿を変えないと生き残っていけなかったのだろう。ヤミ金被害の増加が問題視されている昨今だが、表の世界の情勢がこれでは致し方ないことなのではないだろうか。
銀行系であろうがクレジット会社であろうが、カードローンを行っている会社が
消費者金融であることに変わりはない。使途を限定せず無担保無保証でお金を貸す以上、貸し倒れリスクがあるのは当然で、その分金利に上乗せすることでリスクをヘッジすることは当然だ。
しかし、サラリーマンや主婦、果てはフリーターに至るまでの個人に対して、そこまでのリスクをヘッジしてまでお金を貸して利益を得ることが、果たして社会の公器が行う仕事といえるのだろうか。
住宅ローンなどは担保も保証もあるから低い金利で貸すことができる。当然貸し倒れリスクが減るから低い金利であっても十分な利益が得られるのである。
個人ローンは自由化されて久しく、既になくてはならないのかも知れない。しかし、それが原因で自己破産に至る人が莫大な数に上っていることも否定できないであろう。そこまで行かなくても任意整理や、あるいは法的整理を行わなくとも無計画な借金で生活に困窮する人が増えているのも事実である。
他人のフンドシで相撲を取るだけの銀行が、社会に害悪をまき散らして迷惑をかけているという誹りを免れるためには、せめて借金のハードルを高くして、借金に計画性を持たせる手伝いをしても罰は当たらないであろう。
カードローンの類についても担保または保証人によるリスクヘッジを行い、せめて現段階での金利を5%程度まで引き下げるべきだと思う。まともな社会であれば、当然クレジットカードについてもサラ金についても、無担保無保証の借金という物を認めてはならないはずだ。
それが許されるのは、例えば自然災害に対応するためなどの、なんらかの緊急避難的公的融資だけだ。
当然そうした物は金利を取ってはならないし、仮にそれが許されるとしても市中金利より低く、公定歩合と同レベルの金利でなくてはならないだろう。
借金で生活がおかしくなるのは借りる側に責任があることは言うまでもないが、最近の日本のおかしな状況を見ているとやはり貸し手側の公器たる責任をも問うべきだろうと思う。借り手側の問題については次の機会に譲ろう。